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猫のようには生きられない|宮野 知行
原題:魔性 下宿に居ついた一匹の猫を眺めながら、「人は猫のように平和に生きられないものか」と考える筆者。昼寝を楽しみ、気ままに暮らす猫と、人間の社会で生きる自分たちを対比しながら、少し哲学的な思索を綴っています。最後は春を迎えようとする猫の姿を温かく見守り、「この居候さんに幸いあれ」と結ぶ一編。昭和の学生下宿の日常と、何気ない出来事から人生を考える学生らしい感性が伝わってきます。 下宿の居候さん 僕の下宿に居候が約一匹います。 毎日、ばあさんどもの踊りや歌を子守歌として、南のひだまりで背を丸めて過ごしています。 この居候さん、実は猫なのです。 下宿の主人の足に咬みついて以来、ほどこしを受けていないから何を食べているか知らないけれど、毎日平和な顔をして昼寝を楽しんでいます。 人は猫のように暮らせるか さて、この猫を見て思うのですが、人は毎日この猫のように昼寝をして、生涯平和に暮らせないものかと。 しかし、どうもそのようにはうまくいかないのではないか、というのが結論です。 人には、猫と違って自意識があり、他人によく見られたい、より良くなりたいという意
yasunoritanaka
6月27日読了時間: 2分


夜明け前のコート取りがくれたもの|国塚ゆかり
原題:夜明け前 まだ星の残る早朝、眠い目をこすりながら下宿を抜け出し、二週間に一度のコート取りへ。野良犬に怯え、始発電車に揺られ、やがて友人の車に便乗するようになっても、早朝ならではの小さな事件は尽きませんでした。決して楽ではなかったコート取り。しかし振り返れば、それは自分が同好会の一員であることを実感し、仲間とのつながりを深める時間でもありました。国塚ゆかりさんが綴る、夜明け前の青春の記憶です。 二週間に一度の土曜日 ジリリリリリリ……。 眠い眼をこすりながら、あわてて目覚ましのベルを止める。 あと5分。 そう思いながら布団を頭までかぶる。 ハッと気がつくと、時計の針はいつのまにか15分程進んでいる。 いけない、遅れる! あわてて起き上がると、昨晩枕元にたたんでおいた洋服に袖を通す。 何となくまだ体の一部分が眠っている感じ。頭もまだ鈍い。 あれ? ボタンが余ってる。ヤダナア。一番最初からズレてる。 歯磨いて顔も洗わなくっちゃ。朝御飯食べてる暇なさそうだなあ。いくら何でも化粧水ぐらいつけとかなきゃ。 アレ、もうこんな時間、たいへん!...
yasunoritanaka
4月10日読了時間: 9分
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