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あいつのテニスは、やっぱり変だ!|三木豊雄

yasunoritanaka
2 日前
読了時間: 5分

更新日:1 日前

原題:あいつのテニス

「テニスは一種の人格である」。そんな持論から始まる、二回生の仲間たちの個性豊かなテニス人物評。豪快なトップスピン、ロブとチョビを駆使する頭脳派、強烈なフォアハンドと苦手なバックハンド、調子次第で大きく変わるプレー。そして女子にも、驚異的な体力やパワー、笑いの絶えないダブルスなど、それぞれの持ち味があります。遠慮のない冗談や辛口の批評が続きますが、その根底にあるのは仲間への親愛の情。型にはまらず、自分だけのテニスを追求してほしいという筆者の願いが、昭和の同好会らしい賑やかな筆致で綴られています。

テニスは一種の人格である


テニスとは不可解なスポーツであって、これが「正当なテニス」であるという様なものがない。

従って個人のテニスに対する信念信条というものは、個々まったく違うものであり、独自の世界を皆が持っているのである。

つまりテニスは一種の人格であると言えるのではないだろうか。

僕は、2回生の一人一人を深く理解してもらうために、各々のテニスについて紹介しようと思う。

T・K ―― 迷惑なほどのトップスピン


こういう人物紹介の文章を書く時、どうしても初っ端に持ってきたい特異な人物がいるものである。T・Kである。

これはもう無茶苦茶なプレイヤーである。トップスピンかなんか知らないが実に迷惑だ。あれでフレッシュだというからなおさら迷惑である。

あまり迷惑なので体育会に売ろうという話もあったくらいである。

しかし彼も女子とストロークがしたいがために社交テニスを覚えたのだそうだが、あまり相手にしない方が賢明だと思う。

なお、彼は間が抜けたように見えるが、実はやっぱり抜けているのである。

T・M ―― ロブとチョビの頭脳派


パワーのT・Kと対照的なのはT・Mである。

とにかく彼のプレイはロブとチョビのみで、なんと彼は、どこへ打てば相手がミスるかというようなことを年中考えているのである。

彼もしかしながら最近はそんな自身に悩んでいるようで、あまり「せこい」とか「ずるい」とか言っていじめないでやって欲しい。

彼は5月頃極度のスランプに落ち込んだが、原因もそのあたりにあるらしく、一説によると彼は当時心身症を患っていて、しばしば練習のメニューに異常操作をしていたそうである。

J・F ―― 強烈なフォアと「苦笑いのF」


この二人に次いで変態なプレイヤーはJ・Fである。

軟式出身の彼のフォアの強打は、3回のNさんも真っ青である。

ただあの軟弱なバックハンドだけはどうしようもなく、バックへ球が飛んで来ると彼は諦めたようにニチャッと笑うので、一時期「苦笑いのF」などと呼ばれていた。

だが僕は彼がペアボレーの時も苦笑いしているのを知っている。

皆解っていると思うが、T・KやJ・Fに出会いそうな日は、財布にあまり大金を入れておかない方が良い。

T・S ―― 同好会の朝汐


これら3人に比べて一番マットウなプレイヤーはT・Sではないだろうか。

彼が調子に乗れば、コート中にエースの嵐が吹き荒れ、手がつけられなくなるのである。

ただそれも、調子がいい時の話であって、彼は弱い時にはとことん弱いのである。

従って彼はそのプレイと体型から「同好会の朝汐」と呼ばれている。

彼の技術的な難点はあのセカンドサーブであるが、その姿が手榴弾を投げて自らそこへ突っ込んでいくように見えるので、「特攻サーブ・手榴弾サーブ」などと嘲笑されている。

Y・T ―― 驚異の体力と「暴力スマッシュ」


さてこのあたりで女子の方に目を向けてみようと思う。

こちらのトップバッターは何といってもY・Tである。

彼女の強さのヒケツはあの気違いじみた体力で、昨年のニューカレで第一セットをわざと落とし、相手の疲れるのを待って逆転勝ちした話は有名である。

彼女はとにかく強引なプレイが多く、特にそのスマッシュは「暴力スマッシュ」として恐れられている。

彼女は男を見れば誰でも「かかいい!」と言うので、気を付けるように。

M・H ―― バックラインからのローボレー


Y・Tの体力に対してM・Hはパワーのテニスをする人である。

彼女はフレッシュであるが、バックラインからローボレーが出来るという高等技術を持っている(なんと彼女はそれでエースが取れるのである)。

彼女の人間性について昨年の夏合宿で誤解を受けるような事件があったが、彼女は本当は優しくてしとやかで強くて頼もしくて立派な女性である。

なお事件の詳細はJ・FとS・Iがよく知っている。

J・O ―― 笑いの絶えないダブルス


J・Oは最近メキメキと力をつけてきた一人である。

何といっても彼女の有利な点は、人間科学部であることで、彼女は「KIMURAさんする。」と燃えている。

余談だが庄内コートの皆勤はI・Kさん、T・Kさんと法学部関係の人間である。

彼女は実によく笑う子で、誰とダブルスを組んでも漫才になってしまい、いまいち実力が発揮されないのが残念である。

自分だけのテニスを追求してほしい


ここまで各個人に対し、えらくひどい事を書いてきたが、それは僕の親愛の情ゆえと解釈して許してもらいたい。

僕は批判めいたことも書いたが、しかしこれらの人達にそのテニスをやめて欲しくないのである。

皆、自分のテニスに対して保守的でいてもらいたいのである。

そして、同好会は同好会であって体育会とは違うのだから、型にはめられることなく、自分だけのテニスを今以上に追求し、同好会を素晴らしい個性集団にして欲しいのである。

最後に、本当はこの後もっと多数の人を紹介するつもりであったのだが、不精がたたり締切に間に合いそうもなく、7人という少数の人しか紹介できなかった非力をお詫びしなければならない。

ここに書けなかった人物群にも、特にフレッシュの中には無限の可能性を秘めた人がいる。

例えばK・Iは怠慢打ちの神様だし、T・Hのフレッシュ大会での活躍は見るべきものがあった。

そしてこれら群像のただ一つの共通項は、皆、真剣にテニスに取り組んでいるということではないだろうか。

それだけで充分に同好会を説明できると僕は思っているのである。


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