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心に広がる小さな波紋|辻本 昌容
原題:我が愛の詩集「心の泉」より 好きという気持ち、幸福な瞬間、会えない時間、夜空を見上げる想い――。学生時代だからこそ素直に綴ることのできた恋心が、短い言葉の中に込められています。一篇ごとは小さな詩ですが、読み進めるうちに、一人の青年の恋の移ろいが見えてきます。最後には、筆者が「大好きなミヨちゃん」の作品として紹介する可愛らしい詩も添えられた、青春の詩集です。 一 心の泉 君の投げた小さな石で ぼくの心の泉にできた 小さな波紋は どんどん大きくなって 泉いっぱいに広がったよ 二 いたずら好きの君 好きなんだ とっても。 でも、だめなんだ、ぼく。 君の心がわからない。 ぼくがこんなに想っているのに…… いたずら好きの君。 三 幸福 悲しい日なんて 世の中から 消えてしまえ。 ぼくは今、 幸福だ。 四 心は君のもの 今、ぼくは 君のことを考えています。 きっと君も ぼくのことを 考えてるだろうね。 だって ぼくの心は 君のものだし、 君の心は ぼくのものさ。 五 夜空の星 あの星は 君も見てるよね。 あのキラキラ輝くのが ぼくの星。 その横で かわ
yasunoritanaka
6月18日読了時間: 2分


テニスがつないだ、人との出会い|浅田 清司
原題:テニスと恋と人生と テニスの楽しさから始まり、恋愛、そして人生へ――。同好会での出会いや大学での何気ない会話を通して、人と向き合うことの意味を綴ったエッセイです。恋愛について語り合う学生たちの率直な言葉や、一人の女子学生との対話から感じた人生への思いが、当時の大学生らしい感性で描かれています。テニスをきっかけに広がった人とのつながりが、人生を見つめ直す時間へとつながっていく一編です。 テニスが教えてくれたもの テニスを通じて私の得たものは大きい。 時々いやになることもあるが、二、三日ラケットを持っていないと、たまらなくやりたくなる。 同好会にはいろんな人がいておもしろい。 とくに先輩方のパーソナリティには、クラスにはない味わいを持つものが多い。 皆さん、テニスへ来る時はテニスを楽しむことに、また同好会を楽しいものにすることに努めているのだと思う。 恋愛について語り合う 恋愛について、あまり人のためになることは書けそうもないが、先日、クラスの女の子たちと話す機会があったので、その意見を書いてみます。 「恋愛というのは一度はしてみたいけど、私は
yasunoritanaka
6月4日読了時間: 3分


黄昏の街で交わした、遅すぎた口づけ|山地康路
原題:黄昏時 高校時代からの友人、真司と万里子。大学進学後、再び会うようになった二人は、思い出や将来、恋愛について語り合う「けんか友達」のような関係でした。ある晩、万里子から「明日どうしても会ってほしい」と電話がかかってきます。翌日の喫茶店、夜の公園、そして梅田の雑踏――。長い年月の中で言えなかった思いが、黄昏の街で静かにほどけていく、ほろ苦い青春小説です。 一本の電話 電車を降りて、薄暗い坂道を真司は足早にアパートへ向かった。 真司のアパートは、この坂を登りつめたところにあった。 人気のない暗いアパートのドアを開け、カバンを降ろすと、胸のポケットから煙草を取り出し、電気もつけずにその一本に火をつけた。 フーッと一息ついて蛍光灯のスイッチを入れたとき、廊下の電話が鳴った。 電話は万里子からだ。 明日どうしても会ってほしいというのである。 ひどく元気がない。何か大事な話があるらしくて、しかたなく、明日5時にこの前の喫茶店で待つように言って電話を切った。 電話を切ったその手を、灰皿でけむる煙草に伸ばし、そっとつまんだとき、灰が落ちた。...
yasunoritanaka
4月23日読了時間: 8分


恋を知らないプーさんの、長い冬|蔵田哲之
原題:クマのプーさん ―大人のためのメルヘン― 恋を知らない16才のクマのプーさんは、冬眠のあいだにウォークマンを聴き続け、春になったら「みなみのかぜにのってはしるような恋」をしようと思い立ちます。やがて出会ったのは、かわいいクマのアイちゃん。ぎこちなく始まった恋は、プーさんを有頂天にし、やがて冬の備えさえ忘れさせてゆきます。可笑しくて、少し切なく、最後には静かな余韻を残す「大人のためのメルヘン」です。 恋を知らない16才のプーさん 今年も暗くて長い冬が来ました。 夏の間にクマのプーさんはいっしょうけんめいに働いて、食べ物をねぐらの中にたくさんたくわえていました。 プーさんは音楽が好きで、特にセイコとトシちゃんがお気に入りです。夏に働いているときでも、合い間に音楽をききながら、 「アー、わたっしの一こーいーはー……」 とうたうのが唯一の楽しみでした。 だけどプーさんは、幼稚園の子がうたっているのと同じで、うたの意味を知りませんでした。 そう、プーさんは恋をしらない、恋に恋する16才の男の子なのです。 去年までのプーさんは、冬眠の間いつもねていて、
yasunoritanaka
4月13日読了時間: 7分
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