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旅に出れば、きっと何かに出会える|森岡 清志
原題:ここまで*** テニスの話は先輩に任せて――。そう書き出した筆者が綴るのは、学生時代に夢中になった「旅」の思い出です。紀勢本線を巡る鈍行列車の旅、名松線のローカルな風景、沖縄返還調印日に偶然居合わせた東京での出来事、そしてユースホステルでの交流。観光名所を巡る旅ではなく、人や土地との出会いを楽しむ旅の魅力が、飾らない文章で語られています。昭和の学生らしい自由な旅の空気が伝わる一編です。 テニスよりも、旅の話を どうもテニスの話を始めても、たいしたことは書けそうにないので、その方面は先輩諸氏にまかせて、こちらは好きな旅の話でも書こうと思います。 高校時代はクラブの都合もあって、合宿やスキー以外、長く出かけるチャンスをつかめなかったのですが、夏に紀勢本線を鈍行列車で一周しました。 出発は夜10時ごろ天王寺発の寝台列車です。主に夜明け前に南紀で釣りをしようとする乗客や、和歌山方面へ安く行こうとする乗客(?)で、わりとにぎやかでした。 でも寝台はB寝台のうちでも最悪の上・中・下三段、人呼んで「C寝台」。頭は打つし、横にははみ出すやら、オンボロ列車に
yasunoritanaka
6月28日読了時間: 3分


口で勝負する同好会の名選手たち|森岡 清志
原題:森清法師のクチニス テニスは本来「足ニス」だが、大阪大学テニス同好会では「口ニス」でもある――。トーメンコートでの練習、練習後の雑談、山中湖夏合宿、先輩の新婚旅行の見送りまで、同好会の仲間たちが交わした言葉を、軽妙な会話劇として再現した一編です。実在の人物たちの個性と関係性が次々に浮かび上がり、昭和の同好会のにぎやかな空気がそのまま伝わってきます。 下町で暮らした頃 ぼくは高槻市に住んでいますが、以前は大阪の大正区にいました。 そこはいわゆる下町という感じのところで、商店街、住宅、工場が入り乱れていて、とてもにぎやかなのです。 木津川と尻無川という淀川の支流が二つ流れていますが、あまり橋が架かっていないので、隣の区へ行くのにポンポン船がよく利用されていました。 もちろん無料で、何人か客が集まれば船が出ていくという、どこか田舎風の、のんびりしたいいものです。 そのうえ、川がきれいだったら申し分ないのですが。 テニスは「足ニス」か「口ニス」か さて、読者の皆さん、テニスの方はうまくなりましたか。 テニス本来の姿から言えば、テニスは「アシ(足)ニ
yasunoritanaka
5月28日読了時間: 5分


旅で出会った個性豊かな人たち|森岡清志
原題: 旅の出会い 旅の魅力は、美しい景色だけではありません。旅先で出会う人との何気ない会話や交流が、いつまでも心に残ることがあります。本稿では、ユースホステルを巡る旅の中で出会った個性豊かな人々を紹介しながら、旅が与えてくれる「人との出会い」の面白さを綴っています。学生最後の一年を迎えた筆者が、卒業を前に旅を通して感じた人間の魅力を語る、昭和らしい旅情あふれるエッセイです。 卒業を前に思うこと 卒業研究はまだぜんぜんですが、この文章が活字になる頃には、もう同好会のOBになっているでしょう……。 と、本人は学校側の意思を無視して卒業できると信じているのですが。 ところで、いつも思うのですが、人それぞれいろいろな個性を持っていて、ただ見ているだけでも興味を感じます。 さらに話をしてみればまた面白く、実際につきあってみれば、より人間味を感じることがよくあります。 そういう意味では、旅というのは、その機会を得るには絶好のものだと思います。 一人旅だからこその出会い 一人旅でも、二、三人の旅行でもいいのですが、本当の楽しみが得られるのは、やはり一人旅でし
yasunoritanaka
5月21日読了時間: 5分
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