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旅で出会った個性豊かな人たち|森岡清志

yasunoritanaka
5月21日
読了時間: 5分

原題: 旅の出会い

旅の魅力は、美しい景色だけではありません。旅先で出会う人との何気ない会話や交流が、いつまでも心に残ることがあります。本稿では、ユースホステルを巡る旅の中で出会った個性豊かな人々を紹介しながら、旅が与えてくれる「人との出会い」の面白さを綴っています。学生最後の一年を迎えた筆者が、卒業を前に旅を通して感じた人間の魅力を語る、昭和らしい旅情あふれるエッセイです。

卒業を前に思うこと


卒業研究はまだぜんぜんですが、この文章が活字になる頃には、もう同好会のOBになっているでしょう……。

と、本人は学校側の意思を無視して卒業できると信じているのですが。

ところで、いつも思うのですが、人それぞれいろいろな個性を持っていて、ただ見ているだけでも興味を感じます。

さらに話をしてみればまた面白く、実際につきあってみれば、より人間味を感じることがよくあります。

そういう意味では、旅というのは、その機会を得るには絶好のものだと思います。

一人旅だからこその出会い


一人旅でも、二、三人の旅行でもいいのですが、本当の楽しみが得られるのは、やはり一人旅でしょうか。

もちろん、ぼくの数少ない経験から言えることですが、夏休みや春休みのピークや、有名な観光地では、同じようなタイプの学生ばかりで、あまり面白くありません。

もちろん、それぞれに個性のある楽しい人たちなのですが、大勢の中に埋もれてしまい、その個性が見えにくいのです。

女性の場合はなかなか難しい面もありますが、一人旅で、しかもシーズンを外して旅をすれば、さまざまな貴重な経験が積めると思います。

もっとも、登山やスキーは危険なので別ですが。

ところで阪大には、あまり型破りな人間がいないとよく言われます。

もちろん、自分自身も含めてですが……。

ぼくの学科には、アフリカへ探検旅行に出かけて原住民と遊んできた人や、「プロポーズ大作戦」に出て恥をかいてきた人もいますが、全体としては優等生タイプ(必ずしも優等生ではありませんが)が多いのでしょう。

そこで今回は、旅先で知り合った、少し変わった友人たちを紹介したいと思います。

日本一周サイクリングを続けたA氏


最初は、九州・福岡に住むA氏。

二十五歳くらいでしょうか。

ユースホステルのミーティングで回ってきた「ぐみの実」を、図々しく余計に食べようとしたことがきっかけで知り合いました。

(ぼくも同じでしたが。)

彼は、日本一周サイクリングの途中でした。

日本一周中のサイクリストと出会う旅人

かなり伸びたひげと、真っ黒に日焼けした顔が印象的でした。

最近では日本一周をする人も珍しくありません。

ユースホステルを利用すれば、時間と資金さえあれば決して不可能ではないと思います。

とはいえ、雨の日も雪の日もあります。

道路事情が悪く、予定どおり目的地へ着けないこともあるでしょう。

彼は、そのために仕事で資金を貯め、日本一周をするために仕事まで辞めたそうです。

旅を終えたあと結婚し、昨年九州へ行ったときに新居へ寄らせてもらいました。

ひげもきれいに剃り、新しい仕事にも就き、忙しく働いているそうです。

競技ダンスも続けていて、九州大会では準決勝まで進んだ腕前だとか。

旅慣れた幼稚園の先生


次は、東京・上野育ちのBさん。

四国の定福寺ユースホステルで、ぼくがヘルパーをしていた頃に出会ったホステラーです。

受付で会員証を見たとき、宿泊歴の多さと、分厚い補助カードに驚いたほどの旅のベテランでした。

一人旅でしたが、とても明るく活発な女性でした。

四国最西端の佐田岬までヒッチハイクで行き、そこで野宿までしたというのです。

こんなホステラーには、ぜひ連泊してもらわなくてはなりません。

ヘルパーとして半ば強引に口説いて(笑)、泊まってもらいました。

ところが本人も、清里ユースホステルでヘルパー経験のあるベテランでした。

職業は幼稚園の先生。

子どもの話をしている姿を見ると、「なるほど」と思わせる雰囲気の人でした。

余談ですが、学校の先生というのは、学生に次いで旅人口の多い職業ではないでしょうか。

一年中暇だから……というのは冗談ですが。

それから第三位は銀行員でしょうか。

休みも比較的多く、どちらも仕事がなくなる心配が少ないのが強みかもしれません。

東京で再会したときも、旅の話ばかりしていましたが、実に独創的な旅を続けていました。

「きちがいヘルパー」を名乗る芸術家


もう一人、山陰で知り合った埼玉のC氏。

自称「エレクトリックデザイナー」です。

仕事を持ちながら、毎年年末年始になると伊豆大島で「きちがいヘルパー」をするという、実ににぎやかな人物でした。

送られてくる手紙も個性的で、字の幼児性は言うまでもありません。

(もっとも、人のことは言えませんが。)

全国の「きちがいユース」を巡る旅をしているそうですが、その一方で、スケッチブックとカメラを両手に持った姿は、なかなか粋です。

だからというわけではありませんが、芸術的なセンスも抜群でした。

旅は、人との出会いをくれる


これまで紹介した人たち以外にも、旅を通して本当に多くの個性豊かな人々と出会うことができました。

こうして振り返ると、旅は自然の美しさ以上に、人との出会いの機会を与えてくれるもののように思います。

もっとも、

「時間があれば資金がない。」

「資金があっても時間がない。」

というのが、私たち学生の普通の姿で、なかなか旅へ出るのも難しいものですが……。

それから、岡田喜秋さんの『旅について』という、とても面白い本があります。

テニスやマージャンの合間に、一度読んでみてはいかがでしょうか。


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