自分に合ったグリップを見つけよう|清水 道正
原題:Tips on Tennis (2)
『Tips on Tennis』第2回は、ストロークの解説に入る前に「グリップ」について考えます。テニスが思うように上達しない原因は人それぞれですが、グリップを少し見直すだけで驚くほど打ちやすくなることがあります。清水道正さんは、型にはめるのではなく、自分に合った握り方を自分で見つけることの大切さを説きます。昭和50年代のテニス論でありながら、今も通じる考え方が詰まった一編です。
ストロークの前に、グリップを見直してみよう
前回約束しましたように各ストロークについて書く予定でしたが、少し変更して、今回はもう一度総論的問題についてお話ししたいと思います。
グリップについて
案外軽く見られているものの一つに、グリップがあります。
うまく当たらない原因は人によって違うでしょうし、また「これが原因だ」と一つに決められるものでもありません。
しかし、グリップを少し変えてみることで驚くべき効果がある時があります。
これからシーズンオフに入り、テニスをする機会も少なくなるでしょう。
ちょうどよいチャンスです。
ラケットを取り出して、グリップの点検をしてみませんか。
四つの基本グリップ
グリップは大きく分ければ、次の四つになります。
ウェスタングリップ
イースタングリップ
イングリッシュグリップ
コンチネンタルグリップ
フォアハンドストローク(ボレーも含めて)にはイースタングリップ、バックハンドストロークにはイングリッシュグリップを用いるのが一般的です。
しかし実際には、人によってほんの少し「うすい」「あつい」があるものです。
「うすい」「あつい」とは?
ここで用語の説明をしておきましょう。
イースタングリップでは、ちょうどラケットと握手するように握ります。
ラケット面を地面と垂直にして左手でスロート部分を持ちます。
右手の手のひらをラケット面につけ、そのまま平行移動してグリップへ持ってきます。
手のひらを開いたまま、小指から順に巻きつけ、人差し指だけは拳銃の引き金を引くようにして握ります。
人差し指も巻き込む「ハンマーグリップ」もありますが、面がぐらつきやすいので、あまり勧められません。
イングリッシュグリップは、このイースタングリップからラケットを少し右へ回して握ります。

バックハンドの素振りをし、インパクトで止めた時、人差し指と親指で作るV字が左肩を指すようになります。
コンチネンタルグリップでは、さらに右へ回します。
ウェスタングリップでは、地面に置いたラケットを上から握るようにします。
ここでいう「あつくする」とはウェスタン方向へ、
「うすくする」とはコンチネンタル方向へ回すことを意味します。
人に教わるだけではなく、自分で探してみる
初心者の方は、人から教えられた通りにするのもいいと思います。
しかし、グリップについては少し違います。
教えられた基本グリップでうまく当たれば、そのままでよいでしょう。
しかし、
「どうもうまくいかない。」
と感じた時は、グリップを少しかえてみてはどうでしょうか。
いろいろ試して打ち、自分に一番適したグリップを採用すればよいのです。
ここで「変える」と言いましたが、あくまで心もちということを忘れないでください。
変えるという物理的動作というより、フィーリングに近いものです。
バックハンドは持ち替えるべきか
もう一つ、バックハンドストロークではイースタンからイングリッシュへ持ち替える必要があるかどうか。
少なくとも、今後ともテニスを続けようと思う人なら、持ち替えるべきだと思います。
最初のうちはどうしてもうまくいかず、スランプにも陥るでしょう。
しかし辛抱強く続けることが大切です。
持ち替える際のポイントは、実は右手ではありません。
ラケットを支えている左手です。

左手でラケットを操作してやるのです。
普通はイングリッシュで握っておき、バックならそのまま、フォアへ来ればイースタンへ戻して打つ。
これも一つの方法です。
もちろん、必ずこうする必要はありません。うまくやるための一つの方法に過ぎません。
サーブでも大切なのは「フィーリング」
次に、かなり上達してくると直面する問題は、サーブ時のグリップでしょう。
結論から言えば、上級用サービスのグリップはコンチネンタルグリップが最適です。
私は試合前の練習では、持ち方を少し変えながらサーブを打ち、一番うまく当たるグリップを探します。
ここでももう一度言います。
グリップを変えるとは、「あくまで心もち」フィーリングの問題なのです。
勝つためのヒントはどこにあるのか
ローズウォールと沢松和子にみる勝つ秘密
他の女子トッププロと比べ、一見実力では劣ると思われる沢松和子が、それでも着実に成績を残していること。
また、ローズウォールが39歳という高齢にもかかわらず、なおトッププロとして実力を維持し続けていること。
この二つについて、「なぜだろう」と考えてみたことがありますか。
私なりの考えを述べましょう。
一言で言えば、一定したラケットの動きにあると思います。
ミスを少なくするという強さ

ローズウォールの場合、他のプロと比べてスピンをかけることが非常に少なく、むしろ現在のトッププロのようなトップスピンはほとんど使いません。
フォアハンドはあくまでフラットに。
バックハンドはスライスで返球します。
一定した面で、一定したスイングをすれば、ミスが少なくなるのは当然です。
プロの試合といえども、ポイントの多くはミスによって決まります。
もちろん、どこまでをミスと考えるかによって見方は変わりますが、ローズウォールが他のプロと比べてミスが少ないということは、多くの人が認める事実でしょう。
沢松和子に学ぶこと
では、沢松和子の場合はどうでしょう。
グーラゴングやキング夫人らと比べると、ネットプレーでは大人と子どもほどの差があります。
もちろん、沢松選手が下手だという意味ではありません。
あくまでも比較の問題です。
それでも結構勝ち進んでいる。
その理由は何でしょうか。
やはり前述したように、一定したラケット面の動きによるミスの少なさにあると思います。
試合に勝つための鍵は、このあたりに潜んでいるのではないでしょうか。
テニスは楽しさとのバランス
私自身は、
ボールの高低や球質、スピードによって、
フラットで打ったり、
スライスで返したり、
ドライブをかけたりと、
バラエティーに富んだ打ち方の方が、テニスをする上では楽しいと思います。
しかし、それはあくまでも兼ね合いの問題です。
少なくとも、

試合に勝とうとするなら
一か八かの返球より、
一定したスイングで、
一定したラケット面で返球する方が賢明です。
その方が、
ミスの確率はずっと少ないのですから。
自分に合ったテニスを見つける
前回はグリップについてお話ししました。
そして今回は、一定したスイングという考え方を紹介しました。
どちらにも共通していることがあります。
それは、

「こうでなければならない」
という考え方ではありません。
自分に合ったグリップを見つけること。
自分に合ったスイングを身につけること。
その積み重ねが、
結果として自分らしいテニスになっていくのだと思います。
次回を楽しみに。





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