瀬戸内の夕暮れから、愛媛の山と海へ|国塚ゆかり
原題:碧い空と海、四国へのいざない
夕陽に染まる瀬戸内海、今治の水軍料理、大三島の大山祇神社、道後温泉、石鎚山、そして宇和島の先に広がる海底公園――。国塚ゆかりさんが紹介するのは、故郷・愛媛の山と海、歴史と味覚です。「陸の孤島」と言われようとも、四国には都会では味わえない豊かさがある。そんな郷土への愛情が、瀬戸内の美しい風景とともに綴られた一篇です。
夕暮れの瀬戸内海
夕暮れ時の瀬戸内海、船の上から眺める茜色の風景の素晴らしさを御存知ですか?
空ばかりか、海までもが夕陽の色に染まりゆく美しさを見たことがありますか?

はじめは黄金色に、そして薄紅色を経て鮮やかな茜色に輝き、やがて淡い紫色を帯びた薄暮へ……。
点在する緑の島々は光の反射を受けて、暗いシルエットの中に身を沈めていく。
遠くから聞こえる汽笛と波の声、そして船のエンジンの音が辺りの静寂感を一層つのらせ、都会の喧騒から離れた実感に、ほっと一息つくのです。
四国は「原始時代の遺物」ではありません
「陸の孤島」、「近くの海外」など、四国を形容するいろいろな言葉があるようですが、九州よりも本州に近いはずの四国について、大阪の人達があまり知らないことに驚きました。
誰ですか、
「四国に電気あるの?」
なんて言っているのは。
四国は原始時代の遺物ではありません。
れっきとした文化地域なんですからね。
そこで四国の中から私の故郷・愛媛県を取りあげて、大阪では味わえない四国の良さを少しばかり紹介したいと思います。
今治――まずは水軍料理
まず、私の出身地・今治市から。
タオルと造船を主な業とする商工業の町ですから、観光の目的はあまり果たせないかもしれません。
今治で一番におすすめできるのは、水軍料理。
いけすの中で泳いでいる魚を、その場で料理してくれます。
メインは鯛料理。

体長40、50センチもある大鯛を、活造り、骨むし、あらだき、鯛飯など、多様な姿に変えて供してくれ、他に貝のお造り、天麩羅なども美味です。
新鮮な材料だからこそのおいしさでしょう。
また、店によっては瀬戸内海を眺めながら食事をすることが可能で、ひと昔前の海賊さながらに、舌と同時に目の御馳走も楽しめます。
大三島――源平の昔に想いを馳せる
今治市からフェリーボートで約一時間半。
広島との県境にある島が大三島です。
農業中心ののどかな島ですが、ここを見逃すことはできません。
この島には、刀剣・武具などの保存と大きな楠の木で有名な大山祇神社があります。
中世文化の跡をたどるには不可欠と言えるほどに重要文化財が多く保存され、中でも源頼朝・義経奉納といわれる武具は圧巻と言えるでしょう。
神社を中心に島めぐりをしながら、遠い昔の源平の盛衰に想いを馳せるのもよいかもしれません。
松山――道後温泉で「坊ちゃん」の気分
話は県庁所在地、松山市へと変わります。
松山といえば、正岡子規・夏目漱石らの文人を連想される方も多いと思います。
ここで是非立ち寄っていただきたいのが、道後温泉です。
国鉄松山駅から路面電車に揺られて約20分。
近ごろでは新しいホテルや旅館が次々と建てられて、ずいぶん趣きが変わってしまいましたが、それでも本館のみは旧館のままで、昔懐かしい姿をとどめています。
たまにはのんびりと湯につかって、「坊ちゃん」の気分に浸るのも悪くありません。
温泉だけでは物足りない方には、奥道後をおすすめします。
動物園に広大な散歩道、小さな劇場なども設備されており、子供からお年寄りまで、みんなが楽しめるように配慮されています。
もちろん温泉も豊富ですが、ジャングル風呂においては、本来の野生に帰らぬよう、くれぐれも御注意下さい。
石鎚山――四季の自然を楽しむ
雄大な自然の中で過ごしたいならば、石鎚登山が最適でしょう。
四国の最高峰なのですが、近年の石鎚スカイラインの開通とロープウェイの完備で、気軽に登れる山になりました。
自動車で気楽に自然に親しむもよし、足に自信があれば歩いて登って、自然を大いに満喫するもよし。
新緑の春、抜けるような青空と濃緑の夏、紅葉の秋、そして真っ白な雪景色の冬。
四季折々の変化に富んだ美しさは、決して登山者の期待を裏切ることはないと思います。
冬には天然リンクでアイススケートも楽しめます。
一年中いつ訪れても、満足のいく一日を過ごすことができるでしょう。
西海鹿島――海中の花園
最後に、四国である以上、忘れられない海の自然を紹介したいと思います。
愛媛県のずっと西の方へ行くと、宇和島に着きます。
宇和島といえば闘牛と言うぐらい、ここの闘牛は有名ですが、この宇和島からもう少し離れた所に、もう一つ有名な所があります。
正確に言えば島で、この島、西海鹿島の周りには海底公園が広がっているのです。
グラスボートに乗って眺める風景は、まるで海中の花園といった感じで、ロマンティックな女の子でなくても、その美しさに感動するのではないでしょうか。
自然の美しさ、自然の偉大さを十二分に堪能できる所と言っても、言い過ぎではないでしょう。
交通は少し不便ですが、機会があれば是非訪れてほしい所です。
田舎には、田舎の良さがある
以上、本当に簡単ですが、私の故郷の紹介を終わりたいと思います。
田舎、田舎といつも言われますが、田舎には田舎の良さがあるものです。
都会に住む人達が忘れかけている何かを、自然が思い出させてくれることでしょう。
文化と文明の間には、必ずしも強い正の相関関係があるとは限らないことを、私たちは忘れているような気がします。
もし暇とお金があれば、一度ぐらい四国の土も踏んで下さい。
その時には及ばずながら、案内役をつとめさせていただきますから。
ほら、同好会内をちょっと見回してみて下さい。
ガイド役にピッタリの愛媛美人?がいるでしょう。
ねえ、ヒロミ、エリコさん?!






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