独断と偏見で選ぶ「十人の仲間たち」|飛鷹 翔
原題:十人の仲間たち
昭和52年に阪大へ入学し、テニス同好会の仲間となった同期たち。その中から、練習や合宿によく参加する10人を、著者が「独断と偏見に満ちた実力順」で紹介します。テニスの得意技や弱点はもちろん、授業、麻雀、TVゲーム、コンパ、そして女性関係まで容赦なし。ただし実名は本人のために秘密――。仲間だからこそ書けた、遠慮のない人物評から、昭和54年当時の同好会の日常が浮かび上がります。
独断と偏見で選んだ十人

昭和52年に阪大へ入学し、そしてこのテニス同好会の一員となり、現在に至る10人を紹介しよう。
52年度生全員を紹介したいのだが、スペースの問題もあるので、練習そして合宿によく参加する10人を選んだわけである。
順序は、著者の独断と偏見に満ちた実力順である。
なお、実名は本人のためにふせる。
① T・Y――使用ラケット「ウイルソン クリス・エバート」
テニス
やはり何と言っても、この中ではワンである。
どのショットも超一流で、腕の太さに比例して、すべてパワフルそのものである。スマッシュを好み、何でもかんでも力で打ち込んでくる。
欠点はほとんど見つからないが、ファーストもセカンドもほとんどペースの変わらないサービスはよくダブる。
また、対外試合で、前日に起こった精神的ショックでもろく崩れ落ちることがある。
私生活
予習、復習の○○として有名。
しかし、それとは裏腹に、白昼堂々と石橋の映画館に行くという噂もある。
女性に関しては、毎年合宿ごとに新たな女子に目をつける。実行力大。しかし口だけという話も……。
② K・I――使用ラケット「ヨネックス アルミフレーム」
テニス
ワンのT・Yと組むダブルスは同好会最強。
このK・Iのシングルスの実力も、ほとんどT・Yに引けを取らず、その多彩なショットは数限りない。
中でもフォアのトップスピンはすばらしく、頭上高いボールをウォッチして見逃しても、軽くバックラインの内側に落ちる。
また、一見無気力に見えるプレーで、相手を自分のペースに引きずり込む。
欠点はまったく見つからない。
私生活
授業は週一時間という優雅な生活を送り、夜はインベーダーハウスでバイトしている。そのため、TVゲームにはめっぽう強い。
性格に不明なところが多く、女性に関しては、毎年ミックスダブルスに必ず新人パートナーと現れる。
③ S・A――使用ラケット「ウイニング・ショット」
テニス
前出の二人に比べて、パワーの点でやや引けを取る。
自称ドライブのフォアも一級であるが、その華麗なバックハンドのスライスのため見劣りがする。
これも自称フラットと呼ぶサービスも、ファースト、セカンドともほとんど変化がないが安定している。
欠点は、ツボり出したら止まらないため、「ドツボのしんちゃん」と呼ばれたこともある。
また、サービスがほとんどフットフォールトであるため、大きな公式試合には通用しない。
私生活
コンパでは、ジョリーの唄と野球拳の司会を売り物にして活躍する。

TVゲームでは10人のうちワンで、なんでも超人的にこなす。ただしK・Iと違うのは、機械のパターンをあらゆる角度から解明する研究熱心さである。
女性に関しては、浮いた噂が皆無で、将来が危ぶまれていたが、この秋のミックスでは、アクシデントで出場こそできなかったが、その事前活動はすばらしかった。
④ M・K――使用ラケット「オールマン」
テニス
前出の③ S・Aのダブルスのペア。
このダブルスは、T・YとK・Iのペアに次ぐ同好会№2。
どのショットも安定しているが、特にフォアのドライブは素晴らしく、そのパッシング・ショットは脅威である。
欠点はほとんどないが、上の3人に比べて、ややスマッシュが引けを取る。
私生活
現役時代には神大の医学部を受けたという秀才(今の彼からは想像もできないが)。
麻雀、アレンジボールの腕は、それぞれ右に出る者がいない。
10人中最も二枚目であるため、コンパ後の始末に四苦八苦。しかし、まんざらでもないようである。
実行力は「けん制死」という言葉でわかるようにあまりないが、最近、「けん制死」から抜けつつあった。
しかし……。
⑤ T・A――使用ラケット「クリス・エバート」
テニス
上の4人にやや引けを取る。
しかし、当たっている時はこわく、信じられないショットが続く。
精神的にもろいところもあり、対外試合のシングルスはやや弱い。
ミスしたときのおどけて走り回る姿には愛嬌がある。

私生活
一見、松田優作風の容姿。長い足は10人の中で群を抜いてかっこよい。
麻雀、パチンコ、TVゲームは、熱くなると止まらない。
女性に関しては、やはり熱くなりやすいが、すぐにさめてしまう。
毎年、追コンでは、ふられた話をしてくれる。
⑥ T・K――使用ラケット「オールマン」
テニス
T・A同様、調子の良い時のショットは素晴らしい。
シングルスもなかなか強いが、やはりダブルスプレーヤーで、声で相手を萎縮させる。
しかし、調子が悪いと、ペアのことを考えずにダブりまくったり、イージーミスをおかす。
(私も同感。現OB・元ペア N・O)
私生活
二年から入会したのだが、その特有の群を抜いたずうずうしさで、同好会の中に溶け込んでいる。
また、無責任な発言のため、今まで10人のうち何人かが終わらされている。
女性に関しては、実行力大で人気もあるのだが、ヒネたマスクと歩き方のため、もう一つもてず、ツアー後は暇な週末を過ごしている。
しかし……。
⑦ S・T――使用ラケット「ヘッド・コンペⅠ」
テニス
特に不安要素はないのであるが、すべてにおいてもう一つ鋭さがない。
その今にも地面をするようなサービスは、一年の頃から定評がある。
また、ニューカレのダブルスでは、チャンスボールをスマッシュした時に、ラケットのY字部分にボールをはさんだという逸話もある。
その時、ペアのT・Aは、もちろん例のごとく飛び回っていたという。
私生活
10人の中では、あまり練習に参加する方ではなく、同好会の女の子と遊ぶのを敬遠する向きがあるという噂もある。
この夏(54年)は、ツアーにはしっかり参加したのだが、合宿にはケガ?のため、残念ながら参加できなかった。
⑧ K・S――使用ラケット「ヘッド・マスター」
テニス
どのショットもまあまあ安定しているのだが、もう一つ決め手がない。
練習熱心であり、合宿では、気違いの「Y」とともに、鬼の「S」として名を売った。
私生活
元会計で、金銭の面ではきっちりしている。
酒が入ると、ビールびんを持って飛び回る。このため、特にコンパでは女性に人気がある。
女性に関しては、いわゆるむっつりスケベタイプである。
別に浮いた噂はない。
⑨ T・Y――使用ラケット「オールマン」
テニス
彼はフレッシュであるが、なかなか見どころがある。
軟式出身者独特のハエタタキボレーは、ウイニングショットになり得る。
3つも年の離れたI・Oと組むダブルスは、調子の良い時は善戦するが、悪い時はめっぽう弱い。
また、短いボールを大の苦手とし、同好会のカメ足No.1である。
(No.2 T・K、No.3 吉川)
私生活
さすが人生経験が豊富なため、人間ができている。
その人柄は、下級生から上級生まで幅広く人気を集めている。
女性に関しては、子供がいてもおかしくない容貌のため、浮いた噂はないが、過去はわからない。
⑩ I・O――使用ラケット「ウイニング・ショット」
テニス
入会当時は、神和住純に似ているという噂もあったが、実力がわかるとともに、その噂も消え去った。
⑨ T・Yのダブルスのペア。つまり老若ペアの「若」の方である。
彼もフレッシュであるが、それしか打てないフォアハンドのドライブは素晴らしい。
しかし、バックハンドが弱いため、バックサイドをねらわれると弱い。
また、精神的にも弱いので、ツボり出すとどうにもならない。
私生活
童顔のため、年相応に見られることはまずない。
女性に関しては、酒に弱いというか、バカ正直というか、そのため「ビール」に苦い思い出がある。
実行力はもちろんあまりないが、あの「スーパーカップテニス事件」は、同好会に新たな波紋をもたらした。
また、電話ではよく信じられないことを口走る。
見かけよりも、実際はしゃべりである。
そして、著者もこの十人の中にいる
これで10人すべて紹介し終わったが、文中には仲間うちの陰語が多く使われているが、それを勝手に解釈していただきたい。
話の内容は昭和54年11月現在のもので、それ以降のことは含まない。
列記した10名の、裏を明かすようなことばかりであるが、大げさなところは多少あるかも……。
イヤ、まったくない。
著者自身、名をふせたのは、内容に責任が持てないからではなく、著者自身が10人中の一人であるためで、自身についてもまったく客観的に記すためである。
事実、そうした。





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