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テニスのあい間に見つけた十のこと|井上美紀子

yasunoritanaka
5月10日
読了時間: 5分

原題:題が決まらないと言ってつけた題

同好会に入って、もうすぐ一年。テニスコートから眺めた夕陽、頭上をかすめるような飛行機、早朝の竹やぶ、真っ赤な富士山、そして不思議な「魔球」――。テニスのあい間に目にした何気ない風景や、大学生活の中で気づいた小さな出来事を、「その一」から「その十」まで。井上美紀子さんの素直な驚きとユーモアが詰まった、昭和の学生生活が目に浮かぶような一篇です。

その一 万博コートの夕陽


同好会に入ってもう一年になろうとしますが、今日はその間、テニスのあい間に発見したこと、思ったことなど、少し書いてみたいと思います。

万博コートでテニスの練習中に沈んでいく夕陽を眺める女子大学生

万博コートにて。夕陽の沈む速さについて。

それはもう、びっくりするほどの速さでした。23番コートに立って西の方を見ていたら、みるみるうちに沈んでいきました。

あれをビデオに撮って早送りにすると、きっと線香花火の最後の一粒が落ちていくみたいに見えるでしょう。

その二 庄内コートの飛行機


庄内のコートで。

同好会に入ったら当たり前のことだけど、飛行機の大きさについて。

空港で見るようなジャンボでもないし、飛行機雲を引っ張って飛んでる時の、おもちゃみたいな大きさでもないし。

ロブを上げたらボールが当たってペコンとへっこみそうだし、JA8なんとかと書いてある字まで読めたりして、時にはそのままコートのところに降りてきそうな気さえします。

その三 コート取りの朝(or 夜)


コート取りの朝(or 夜)について。

家を出ると、まだお月さんが出ていました。

山田の駅からコートまで歩いて行く途中で、一番こわかったのは竹やぶのところでした。

その四 ちょっと陰を拝借


同じく庄内のコートで。

かんかん照りのコートで練習していたら、陰が恋しくなるでしょう。

そんな時は、何気なく近くにいる人のそばに寄っていって、その人の陰をちょっと拝借するんです。

もちろん、自分より大きい人に限りますが。

その五 真っ赤な富士山

夏合宿の早朝にクレーコートから真っ赤な富士山を眺める女子大学生

夏合宿で、朝早くテニスをしていて、ふと富士山を見ると、今まで見たことのない、真っ赤な色をしていました。

あの日から即、富士山のファンになってしまいました。

やっぱり富士は日本一の山です。

その六 ボールについたひっつき虫


またまた庄内のコートで。

10月か11月ごろになって、コートのまわりの草が枯れてくると、そこにボールが飛んでいった時なんか、ひっつき虫がいっぱいくっつきました。

◆な形のはすぐに取れるけど、Vな形のはなかなか取れないんです。

でも、やっぱり春になってボールに草が生えてくるといけないので、なんとか全部取りました。

その七 オリオンと流れ星


つい最近のことですが、久しぶりに出た5時限目の授業の帰り。

オリオンがくっきりと見えていた夜、三つ星の間を縫うようにして流れ星が、ちょっとうそっぽいけど、すーっと消えてしまいました。

友だちはUFOだと言って頑張ってたけど。

その八 イ号館は5階まであった


イ号館は5階まであるということを、ついこの間まで知らなかった。

そういえば、入学したてのころに、

「イ―51はどこですか」

と聞かれて、

「40いくつまでしかないのと違いますか」

と答えたような気もするのですが。

その九 食堂のおばちゃんの変化


図書館の下の食堂で、パンやお菓子を売っている、めがねをかけたおばちゃん。

以前はすごく愛想なしで、お金を出す時にもたもたしていると、こっちが怒られたりしていましたが、この頃はとても親切で、あんまん一個買っただけでも袋に入れてくれます。

そして、

「シューマイもあるよ」

とか、

「温かい牛乳はいかが」

とか、いろいろ売り込んできます。

これはやっぱり、売上げが落ちてきたからなのでしょうか?

その十 同好会で知った「魔球」


これでおしまい。

テニスでは消える魔球とか大リーグボールはないけれど、いろんな魔球があることを知りました。

何といっても、戻る魔球を初めて目撃した時は、いつまでもおかしくて。

ネット際に落ちて、勝手に帰る、あれです。

ネット際に落ちて戻ってくる不思議なボールを見て笑うテニス同好会の学生たち

私はいつも、人が「ワッハッハ」と笑って済むようなことでも、いつまでもおかしいので、授業中とか真面目なミーティングの時、苦労するのですが。

それと、

「はいれ!」

と叫ぶと、ポロンと入る魔球。

不思議ですね。

ひたすらお願いをすると、かなうものなのでしょうか。

やっぱり同好会に入って良かった


ナンバー十までしつこく書いてしまいましたが、同好会に入ってやっぱり良かったです。

たくさんの人と知り合いになれて。

大学って広すぎて、今日すれ違った人でも、もう四年間会わないなんて人の方が多く感じて、一人で歩いてる時でも心細く思うのですが、そんな時、知っている先輩や友達に出会うと、ほっとします。

(「ぞっとします」ではありません)。

とにかく、テニスができるということは幸せなことです。

やっぱりテニスが一番おもしろいみたいです。

これからも絶対、テニスだけは続けていこうと、そう思っている今日この頃です。

おわり。

P.S.

昨シーズンはさじを投げかけたのですが、今年こそは掛布=真弓の三遊間ゴールデンコンビに、そして、われらがドン・ブレーザーに期待をかけて、阪神ファンの方、応援しましょう。

(江川はいらん)。

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